蘭デルフト工科大学がよりドローンをスムーズに操作するAIを開発!

蘭デルフト工科大学がよりドローンをスムーズに操作するAIを開発!

はじめに
 蘭デルフト工科大学とウェストファリアン大学が、昆虫などにみられる「オプティカルフロー(物体の見かけの速度の分布)」をうまく利用するAIを開発して、小さなドローンなどに応用することに成功しました。このAIベースの学習戦略は、小型の飛行ドローンのナビゲーションスキルを向上させるだけでなく、昆虫の知能に関する新しい仮説の提唱も伴っています。

デルフト工科大学公式HP
Appreciating a flower’s texture, color, and shape leads to better drone landings
https://www.tudelft.nl/en/2021/tu-delft/appreciating-a-flowers-texture-color-and-shape-leads-to-better-drone-landings

公式解説動画

概要

 蜂などの小さな昆虫は、オプティカルフローを広範に利用することで、花に飛び降りたり、障害物を避けたりすることをスムーズにこなします。オプティカルフローとは、視覚内の物体の見かけの速度の分布のことです。絶対速度が同じでも、近くにある物体ほど、はやくなります。
 ドローンなどでも、オプティカルフローを適切に制御することで、着陸するときにスムーズでソフトな着陸が可能になります。しかしドローンなどの小型の飛行ロボットは、搭載できるセンサーと処理の点で非常に制限されています。これらのロボットがはるかに大型の自動運転車と同じくらい自律的であるためには、飛んでいる昆虫が持つ高度に発達した知能と同様に、非常に効率的なタイプの人工知能を使用する必要があります。
 今回、視覚内の物体情報を適切に取り込み、物体との距離を予測することを可能にすることで、オプティカルフローを適切に利用するAIの開発に成功しました。

オプティカフローOptical flow

問題

 オプティカルフローを適切に制御することで、蜂のような飛行を可能にします。そのため、ロボットがビュー内のオブジェクトの視覚的外観(形状、色、テクスチャ)を通じて距離を推定できるようにしますが、問題があります。
 1つ目は、オプティカルフローは距離と速度に関する混合情報のみを提供し、距離や速度に関する個別の情報は提供しないということです。(たとえば、2つの着陸ドローンがあり、そのうちの1つが他のドローンの2倍の高さ、2倍の速さで飛行する場合でも、それらはまったく同じオプティカルフローを経験してしまいます。)
 2つ目は、移動方向のオプティカルフローを適切に取得することは障害物の回避に重要ですが、ロボットが移動している方向のオプティカルフローが非常に小さいことです。これはその方向では、オプティカルフローの測定にノイズが多く、障害物の存在に関する情報がほとんど提供されないことを意味します。したがって、最も重要な障害物(ロボットが向かっている障害物)は、実際には検出が最も難しいものです。

解決方法

 環境内のオブジェクトの外観を理解することが可能になれば、人間のように視覚内のオブジェクトまでの距離を確認することが可能になります。AIに視覚的な外観から物体との距離を確認できるようにすることで、よりスムーズな着陸を可能にしました。