JDLA認定 G検定 2019#1 合格体験記

JDLA認定 G検定 2019#1 合格体験記

本勉強会に参加しながら、G検定に合格しました。

2019年3⽉9⽇実施のJDLA主催Deep Learning for Generalist 2019#1を受けました。
試験を受けようと思い⽴ったのが2⽉中旬、申込みは2⽉20⽇頃です。勉強期間は1ヶ⽉弱程度でした。

【G検定とは何か】

⽬的︓ディープラーニングを事業活⽤する⼈(ジェネラリスト)を育成すること
主催︓⼀般社団法⼈JDLA(⽇本ディープラーニング協会)
受験料︓12,960円(学⽣は5400円)
受験⽇︓2019年3⽉9⽇ 2019年#1
試験概要︓13時から15時までの120分、全226問4択形式
⾃前のPCで好きな場所で受験可
歴史︓第⼀回は2017年12⽉で、今回は第四回
試験範囲 (詳しくは公式ホームページ参照)
⼈⼯知能とはなにか
⼈⼯知能のこれまでの発展の歴史
機械学習の具体的⼿法
ディープラーニングの具体的⼿法
ディープラーニングが活⽤できる分野
ディープラーニングを活⽤にするあたっての法律的・倫理的問題
公式テキスト
深層学習教科書 ディープラーニングG検定 公式テキスト
主な指定推薦図書(詳しくは公式ホームページ参照)
AI⽩書 2019
⼈⼯知能は⼈間を超えるか
深層学習(機械学習プロフェッショナルシリーズ)
…他

【試験を受けた動機】

 これまでほとんどプログラミングはやったことがなく、仕事の内容もITとは関係がなかったのですが、縁がありディープラーニングを仕事にできるチャンスが到来しました。仕事の内容は、すぐにコーディングを仕事にするのは難しいと思うから、とりあえず業界のイメージを掴んでから技術等の紹介やアシスタントをして欲しいというものです。毎⽇のように国や⼤企業がAI分野に巨額の投資をしたというニュースが流れている中、⾃分は世界の流れから取り残されてしまうかもしれないと感じていたところだったので、かなりの幸運だったと感じています。

 まず⼿始めにメンターの⽅にお勧めしていただいた『⼈⼯知能は⼈間を超えるか』『ディープラーニング活⽤の教科書』を読みました。両著作とも前提知識が無くても簡単に読めて、AIに関するぼんやりとしたイメージを掴むためには最適だったと思います。ただ、読みやすさとのトレードオフだとは思うのですが、踏み込んだ内容には触れておらず、いざ⼀歩進んだ勉強を始めようとするには少し⼟台が固まっていない感覚がありました。実際、次のステップとして『ゼロから作るDeep Leanrning』を開いてコードを書き始めてみても、⾃分が今から学ぼうとしている項⽬がどの領域に繋がっているのか分からず、モチベーションもイマイチ上がらないまま⼿を動かす⽇々。このままじゃダメだ、せめてもう少し詳細にこの業界の全体像が知りたい、と思ったとき、『ディープラーニング活⽤の教科書』にディープラーニングの幅広い知識を問う試験が紹介されていたことを思い出しました。
 メンターの⽅に試験について聞いたところ、確かにこの世界について少し踏み込んで理解したいならちょうどいい⽬標になるかもしれないと背中を押してくれたので、受験を決めました。簡単な解説書を読んだだけの状態で、受験まで⼀ヶ⽉を切っている。しかも受験料も安い
とは⾔い難い。頑張らざるを得ない状況です。

【試験を受けるまでの⼀連の流れ】

 まず⼿をつけたのは『深層学習教科書 ディープラーニングG検定 公式テキスト』(以降公式テキスト)です。全9章300ページちょっとで、G検定のホームページに載っているシラバスの試験範囲を網羅しています。数式も少なく図表が多いので、尻込みすることなくスラスラと読み進められました。ただ、G検定の合格体験記や同書のAmazonレビューを⾒て分かったのは、どうやらこの公式テキストは試験範囲をあまりカバーできていなさそうだということ。しかしそれは逆に考えれば、公式テキストにのっている知識程度は必要最低限のものとしてしっかり抑えておくべきということではないのか。ということで、章ごとに要約を作ったあと、⽳埋め形式の問題を⾃作して何度か復習をしました。公式テキストには⼀応章ごとに問題が付属しているのですが、知識の定着度を測る上では量的に不⼗分だと思います。
 仕事が少し忙しかったこともあり、何度かメンターの⽅に少し踏み込んだ技術のお話を聞きつつですが、上記の勉強を終わらせた時点で試験までの時間は残りわずかとなってしまいました。試験範囲をカバーできていないという認識がありながら、公式テキストにほとんどの時間を費やしてしまったのは完全な誤算です。指定参考図書になっているAI⽩書も開いてはみたのですが、情報量の多さに物怖じしてパラパラとめくったあとすぐに閉じました。読み物というよりは資料(⽩書なので当然ですが)のような側⾯があり、しっかりと読み通すにはそこそこの根気と時間が必要になりそうです。ただ所々に挟まっている各業界の⽅々のインタビューは⾯⽩いので、⼿に取る価値はあると思います。
 前⽇にStudy AIというサイトでG検定の模擬試験が公開されていたのを発⾒したので、受けてみました。正解率は6割程度、知らない単語が多数登場して結構焦りました。12960円を無駄にしたくないなぁと思いつつ、知らない単語をEvernoteにメモして就寝、試験当⽇を迎えます。

【試験中】

 12︓50分にG検定ホームページから試験のページに⾶んで、動作環境の確認などが済めば試験を開始できます。2時間の⻑丁場なので、飲み物やティッシュをしっかりと準備し、トイレを済ませてから試験開始のボタンを押しました。

 最初の50問ほどは法律関係の問題が続きます。このあたりの分野は記憶するのが⾺⿅⾺⿅しかったので流し読みで済ませていたのですが、いざ問題を前にして答えをインターネットで探そうとするとなかなか欲しい情報が⼿に⼊らない。⾃動運転についての最新の法改正の記事が⾒たくても少し前の改正の話が出てきたり、有料記事だったせいで知りたい内容が⾒られなかったり(ここらへんは検索能⼒の問題だとは思いますが)で、思いの外苦戦してしまいました。 
 それ以降は公式テキストやStudy AIで⾒たことのある問題が続き、かなりテンポよく解けました。途中カプセルネットワークやセマンティックウェブ 、記述論理、トピックモデル、形態素分析含意関係認識…などの全く勉強していない範囲がそこそこ出題されたのですが、キーワードを検索してなんとか答えらしきものを⾒つけることができたと思います。⼀通り解き終わった段階で試験時間は30分以上余っていたので、法律関連の問題をもう⼀度調べ直しながら残り時間を過ごしました。ご親切にも、問題にチェックを付けておいて後で解き直しやすくな
る機能が試験ページに付いているので、これは絶対活⽤したほうがいいと思います。

【試験を受けてわかったこと】

 試験から5⽇後の3⽉14⽇18時に合格を知らせるメールが届きました。 とりあえず⼀安⼼です。受験者数3436名は合格者数2500名、合格率は約73%。得点及び合格基準は⼀切公開されないそうなので、⾃分がどの程度余裕を持って合格できたのかは分からないのですが、合格す
ることだけを考えたら難しい試験というわけでもないのかなという印象を受けました。勉強⽅法なのですが、やはり公式テキストを中⼼にやるのが⼀番いいと思います。公式テキストは確かに試験範囲を⼗分にカバーしているとは⾔い難いのですが(公式テキストの知識だけで解ける問題は4割くらいだった気がします)、公式テキストに書いてあることは⼤体出ると考えて良さそうです。つまり、公式テキストに書いてあることを調べずに即答できるようになれば、あるいは明確な誤りの選択肢を検索せずに除外することができれば、他の設問に時間を使えるということになります。120分で226問、4択とはいえ全ての単語を検索していたら絶対に間に合いません。また、どの推薦図書にはのってなさそうな最新の時事・技術を扱った問題も1割弱は出題されていて、その場で検索することが前提になっている部分もありそうなので、やはり調べなくても正答できる設問をできる限り増やしておくことが重要だと思います。
 ⼀⽅でAI⽩書は相当の情報量があり、問題の多くはそこから出題されているとも思うのですが、内容をしっかり頭に⼊れるという類いの勉強⽅法にはかなり向いていないテキストではあると思います。⾃動運転をレベル別に解説しているページなど、試験に出そうな項⽬に付箋を
貼っておくといった使い⽅が向いているのではないでしょうか。
 この試験は合格を⽬標にするという類いのものというよりは、AIを学び始める⼊り⼝であると捉えたほうが正しいと思います。従って、最⼩の勉強量で合格することを⽬指すよりも、できるだけ実りのある勉強をして⼀つの通過点として合格をするという姿勢をとるのが望ましい
はずです。今回僕はAI⽩書はほとんど開かず、もう⼀冊の推薦図書である『深層学習(機械学習プロフェッショナルシリーズ)』に⾄っては⼀切開かなかったので、そういう意味では模範的な受験⽣とは⾔い難い気がしています…。

 しかし、公式テキストを中⼼に合格に向けて学習した結果、以前よりも確実にディープラーニングに関する知識が浅く広く増えたと感じています。専⾨⽤語について、説明しろと⾔われると怯みますが、どんなものかというイメージは⼤体つかめるようになりました。例えば、以
前はCNNと⾔われても「いつか学ぶことになりそうな⼿法の⼀つ」という程度の認識しかなかったのですが、今であれば「主に画像認識に使われているが⾳声解析なんかにも使われることがあるとても重要な⼿法」くらいの認識は持つことができます。このような全体像に対する感覚はこれから勉強をする上でなかなか⼿助けになってくれそうです。
次回のG検定は2019年7⽉6⽇、申込み開始は5⽉31⽇頃を予定しているそうです。AIに興味があるけど何を勉強していいのかイマイチ分からないという⽅は是⾮受験をオススメします。