テキサス大学によるオンラインゲームの不正摘発を行うGPUベースの機械学習事例を紹介!

テキサス大学によるオンラインゲームの不正摘発を行うGPUベースの機械学習事例を紹介!

はじめに
 テキサス大学ダラス校のコンピュータサイエンスチームが、コンピュータゲームにおける不正プレイヤー対策に汎用的に利用できるGPUベースの機械学習メカニズムを発表しました。

大学公式HP(2020/11/13)
Computer Scientists Launch Counteroffensive Against Video Game Cheaters
https://www.utdallas.edu/news/science-technology/stopping-video-game-cheaters-2020/?WT.mc_id=NewsHomePageCenterColumn

論文
GCI: A GPU Based Transfer Learning Approach for Detecting Cheats of Computer Game
https://ieeexplore.ieee.org/document/9154512

目次

概要

 コンピュータゲームは世界的に普及し、現在では大規模な経済圏を構築しています。しかし、ソフトフェアなどを利用してアイテムを不正取得したり、シューティングゲームにおいて絶対に外れないように設定するなどプレイ環境を不公平にする悪質なプレイヤーが存在します。不正プレイヤーはゲーム内のプレイヤーがゲームから離れる要因になるため、迅速に摘発する必要があります。
 今回、テキサス大学のコンピュータサイエンスチームが、人気のシューティングゲーム「Counter-Strike」での不正プレイヤー摘発のためのメカニズムを開発しました。ただし、このメカニズムは、データトラフィックを中央サーバーに送信する大規模マルチプレイヤーオンライン(MMO)ゲームで汎用的に機能することができるとしています。
 
既存の問題点と手法
 プレーヤー(のコンピューター)からゲームサーバーに送られるデータは暗号化されています。そのため、以前の研究では、事後の不正行為を検出するために、復号化されたゲームログに依存していました。不正の検出は、クライアント側の情報が限られていること及び、未知の複雑な不正手法に対応する必要があるため困難な作業になります。今回のテキサス大学ダラス校の研究チームのアプローチは、復号化されたデータの必要性を排除し、代わりにサーバーとの間の暗号化されたデータトラフィックをリアルタイムで分析することで不正行為を発見しようというものです。
 研究チームは、着信パケットと発信パケットの数、サイズ、送信時間、方向、連続したパケットのグループであるバースト内のパケット数などの機能を分析しました。それらの分析情報を使用して、機械学習モデルをトレーニングし、ゲームデータのパターンと機能に基づいて不正行為を予測しました。
 今回の様な予測モデルを開発する際の主な課題は、十分なトレーニングデータを利用できるか、という点にあります。数人のプレーヤーから取得したゲームトラフィックでも、簡単にラベル付けすることができ、教師データとして有用に働きます。ただし、そのような小数のプレーヤーが母集団(つまり、他のプレーヤー)を適切に表していない場合は適切に働かないため、母集団を表現しているかどうかが重要になります。
 そのため、論文ではグラフィックスプロセッシングユニットが提案されています。

Reference
Md Shihabul Islam, Bo Dong, Swarup Chandra, Latifur Khan, Bhavani M. Thuraisingham. GCI: A GPU Based Transfer Learning Approach for Detecting Cheats of Computer Game. IEEE Transactions on Dependable and Secure Computing, 2020; 1 DOI: 10.1109/TDSC.2020.3013817