OpenAI関連ニュース(2020年2月版)

OpenAI関連ニュース(2020年2月版)

OpenAIについてのニュースを纏めた。

OpenAがディープラーニングフレームワークの新規標準にPyTorchを採用

OpenAI sets PyTorch as its new standard deep learning framework
https://jaxenter.com/openai-pytorch-deep-learning-framework-167641.html
(jaxenter 2020/01/31)
・AIの公共利用を目的とするOpenAIがPyTorchをディープラーニングフレームワークの新規標準に採用した。
・OpenAIが採用した主たる理由は、大幅な研究生産性の向上を見込めるからとしている。
・また急速に発展するPyTorchコミュニティに対する魅力を感じたためでもあるという。

世界を救うためのOpenAIの試みの背後にある混沌とした秘密の現実
このAI moonshotは、透明性の精神に基づいて設立された。
これは競争圧力がその理想主義をいかにむしばんだかの内幕である。

The messy, secretive reality behind OpenAI’s bid to save the world
The AI moonshot was founded in the spirit of transparency. This is the inside story of how competitive pressure eroded that idealism.
https://www.technologyreview.com/s/615181/ai-openai-moonshot-elon-musk-sam-altman-greg-brockman-messy-secretive-reality/
(MIT Technology Review 2020/02/17)
・OpenAIが設立目的の公開性や透明性を失い、組織としての問題を抱えていることが明らかにされている。
・最近の競合間での開発費用の上昇(約4カ月で2倍の上昇率)に対応する費用調達のために、商業化を一定程度受け入れたことが大きな要因とされる。
・構成員内での多様性(男性や、白人もしくはアジア人が多い)が低く、標榜している価値観と異なることも明らかにされている。

「Teslaを含む最先端AI開発組織は規制されるべき」とイーロン・マスク氏

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2002/19/news070.html(ITmedia 2020/02/19)
・OpenAIの内情を取材した記事によって、同組織の設立目的でもある公共性や透明性を失いつつあることが明らかになった。
・それを受け、立ち上げに参画していたイーロン・マスク氏がOpenAIに公開性を求めた。
・またマスクはが自身の会社であるテスラも含むAI開発企業の規制を提案した。


<所感>
OpenAIは、AIという社会に大きなインパクトを与える可能性がある技術に対して、人々に公平に利益分配することを目的としてつくられた組織であった。それにもかかわらず、潤沢な研究資金を確保しようとしたことをきっかけに商業的競合に巻き込まれる形でその目的を失いつつある。アメリカなどがAIに関する研究費用を増額するなど、重要性は高まると考えられていく一方で、その囲い込みも以前よりも苛烈を極めている。OpenAIのような変質してしまう事例は、今後、同様の公益的組織を設立することを困難にする危険性もある。改めて革新的技術の公共利用をいかに可能にするか、ということは考えていく必要があるだろう。