インペリアル・カレッジ・ロンドンによる物理的な体を備えたPhysical AI誕生のための提言研究を紹介!

インペリアル・カレッジ・ロンドンによる物理的な体を備えたPhysical AI誕生のための提言研究を紹介!

 インペリアル・カレッジ・ロンドンにおいて、物理的なAI(Physical AI)を生み出すために、材料科学、機械工学、コンピューターサイエンス、生物学、化学など学際的な知識を備えた人材が必要であることを提言しました。

インペリアル・カレッジ・ロンドン公式HP記事
Skills development in Physical AI could cultivate lifelike intelligent robots
https://www.imperial.ac.uk/news/208053/skills-development-physical-ai-could-cultivate/

論文
Skills for physical artificial intelligence
https://www.nature.com/articles/s42256-020-00258-y

目次

概要

 生物的な知性を備えた機械的存在を作り出すということは近年、現実的なものになっており、またその社会的要請も高まっています。しかし、中心となる機械工学と生物学は別々に存在し、両者は基本的に統合されていないという問題があります。特に近年のデジタルAIの発達により、いわゆる「脳」の部分の開発が進められる一方で、「体」の部分の開発が遅れていることが指摘されています。一部の研究者たちは、この開発ギャップの理由に、学生と研究者にロボットの体と脳をユニット全体として組み合わせるように教えるための体系的な教育アプローチがまだ開発されていないことが影響している可能性があると考えています。
 今回のインペリアル・カレッジ・ロンドンによる研究では、物理的なAI(Physical AI)が定義され、必要だとされる学問分野(材料科学、機械工学、コンピューターサイエンス、生物学、化学)も提起されました。

 研究では、一般的にコンピュータサイエンスの分野で「計算」する点にAIの概念が定義されていることに対して、より広い意味でAIを捉え、物理形態学、学習システム、組み込みセンサー、流体ロジック、統合された作動を共同開発することを提案しています。
 また今回の研究では、ロボットによる自然な機能を実現するには、従来のロボット工学とAIを他の分野と組み合わせて、独自の分野として「物理的なAI(Physical AI)」を立ち上げる必要があると述べられています。そのために、教育指導要領の作成とそうした人材の育成、及び雇用の促進が必要であるとしています。特にこのような学際的な場で働くことは、キャリアの不確実性が生じるリスクの高い研究に従事することを意味しており、そのため雇用支援が特に必要であるとされています。
 研究チームは、今後、人間とロボットの生態系への道を開くために、研究と教育活動における物理的なAI(Physical AI)の手法を実装することを予定しているとしています。