FAIRがAIを利用して人間の「言語」の効率性に関する研究を発表しました!

FAIRがAIを利用して人間の「言語」の効率性に関する研究を発表しました!

はじめに
 Facebook AI Research(FAIR)がAIを利用して、言語を解明する取り組みのひとつとして、言語の効率性に関する研究を発表したので、ご紹介します。

〇FacebookAIBlog
AI names colors much as humans do
https://ai.facebook.com/blog/ai-names-colors-much-as-humans-do/

〇論文
Communicating artificial neural networks develop efficient color-naming systems
https://www.pnas.org/content/118/12/e2016569118

概要

 言語は人間の特徴の一つであると考えられています。しかし、言語に関しては不透明なことも多く、いまなお多くの研究が行われています。今回、FAIRでは言語がコミュニケーションツールとして最適化されていくものであるという仮定を確認するために、人工知能を用いて語彙生成に関する実験を行いました。
 実験結果から、人間の言語がー離散通信システムの一般的な特性でもありますー生物学的制約に依存せず効率的な通信手段となるように最適化されたことが示唆されました。

詳細

目的

 今回行われた実験は、2つの人工知能を利用して色を伝言するゲームを最適化するとどのような語彙が作られるのか、を確認するというものです。2つの人工ニューラルネットワークが、どの色が見えるかについて互いに通信する方法を作成するという任務を負っている場合、どのように複雑さと正確さのバランスをとるシステムを開発するのかを通して、人間の言語がどれほど最適化されたものかを確認します。

方法

 二つの人工知能(SpeakerとListener)が色を伝達するゲームを行います。Speakerは伝えるべき色を視覚情報と同じように受け取り、それを語彙に相当する記号を作成することで、Listenerに伝えます。Listerはその後、Speakerがみた色を選択し、当たると報酬が与えられるように学習していきます。

結果

 最終的に、人工知能が生み出した語彙が人間と同じような構造になることがわかりました。さらに、両方のタイプの言語は、複雑さと正確さの間の可能な最適なバランスのセットを正式に定義する境界の近くにあることがわかります。

 さらに重要なことに、ニューラルネットワークが個別のシンボルではなく連続したシンボルを介して通信できるようにすると、複雑さと精度の間の最適なトレードオフがもはや現れないことがわかりました。伝達には成功するものの、最適なトレードオフに達することはなくなりました。これは、これらのニューラルネットワークで使用される色の「言語」が最適なソリューションであるためには、連続的な音ではなく離散的な記号を使用する必要があることを意味しています。

まとめ

 言語は人間の特徴とされるものの、不透明な部分が多くあるものでもあります。言語が知性を表現するものとして扱われることがあることから考えても、人工知能の研究と言語の研究が密接な関係性にあるといえます。今後、双方の影響関係が深まることが想定されます。