【実例紹介】AI技術を活用した無人での交差点における自動車交通量の測定

【実例紹介】AI技術を活用した無人での交差点における自動車交通量の測定

はじめに
 交差点での自動車交通量の測定をAIにて行いました。現状のAIによる自動車交通量について簡単に説明した後、実際に測定する際に生じた課題、解決策などについてご紹介します。

参考記事
【実例紹介】AI技術を活用した無人の歩行者交通量測定
https://deepsquare.jp/2020/12/pedestrian-count/

現状のAIによる自動車交通量の測定について

現状について

 AIの発展に伴い、各分野でAIの導入が積極的に進められていますが、自動車交通量の計測は導入が進んでいる分野のひとつといえます。自動車交通量の計測容易化は、世界共通課題の一つであるからです。(ある地点でどれくらいの自動車が走っているのかを知ることは、道路の損耗率の推定や信号の設置判断の資料など公的な利用からマーケティングなど商業的な利用まで幅広く需要があります。)AIによる計測も積極的に進められてきた歴史があり、技術的到達度も他分野とくらべ高い位置にあります。直線道路の交通量を測るだけであれば、安定して高い精度で計測することが可能です。
 
※現在、直線道路(下図参照)の交通量を測るだけであれば、技術的に難しいことはあまりなく、安定してかなり高い精度で測定することができるところまで到達しています。
 

現状の難易度分岐点

 直線道路での計測が比較的容易な理由は、 ⑴ 進行方向が変わらない、 ⑵ 速度が急激に変化することが少ない、 ⑶ 自動車同士が重なりあうことが少ない、の 3 点があげられます。現在のAIであれば、以上の要件を満たしていれば、基本的に問題なく計測することができます。逆に言えば、この要素を満たさなくなればなるほど、個別の問題が生じ、人間側での工夫(判定方法の変更や、測定箇所の変更など)が必要になるため、難度があがっていくことを意味します
 実際に計測したい道路はもちろん直線道路だけでなく、分岐する道路(⑴を満たしません)、信号がある道路(⑵を満たしません)、曲線道路(⑶を満たしません)など様々であるため、現場の状況に応じて適宜対処する必要があるのが現状です。また直線道路でも適切な角度から撮影するのが難しい場合、同様に人間側で工夫する必要があります。
 交差点における交通量は、交通の流れをより多面的に捉えることができるため、多くの用途で利用することができる貴重な情報です。しかし、上述した計測を容易にする三原則を満たしていないため、AIによる計測では個別の課題が生じ対応する必要があります。以下では、測定するうえで実際に生じた課題とその解決策について詳しくご紹介します。

課題

課題概要

 自動車の交通量を計測するうえで、AIの技術として、⑴物体検出と⑵トラッキング(物体の移動捕捉)を利用しています。画面内に存在する自動車を検出し、トラッキングすることで、交通方向と量を計測します。今回、問題になったのは、主にトラッキングです。交差点を通過する際に、トラッキングがうまくできなくなり、結果として交通量と方向どちらも正しく計測できないという問題に直面しました。

課題詳細

 トラッキング手法にもさまざまなものがありますが、過去の軌跡から将来の位置を予測して、その位置付近にある物体を同一物体と考える手法を採用しました。そのため、物体の動きが予測しやすいものであれば、精度が向上します。(直線道路は進行方向や速度が一定のため、予測しやすいため精度が安定します)逆にいえば、物体の動きが予測しづらくなると精度が低下してしまいます。
 交差点における車の動きは、直線道路に比べ格段に複雑性が増しています。直進、右折、左折があることはもちろん、Uターンなども考えられます。また交差点内での停止や、信号がある場合は確実に不自然な減速を伴う停車が存在するため、進行方向だけでなく速度という点でも自動車の動きに多様性が増すことになります。そのため計測箇所内に交差点を含む場合、過去の軌跡から将来の位置を予測することは困難になります。結果として、トラッキングに失敗するケースが多々見られました。
 また、交差点を真上から撮らない限り(=実質的には、ほとんどすべての場合が該当します)、車両が一定以上の割合・時間で計測できないほど隠れてしまう場合があります。計測できないとAIはトラッキングをやめてしまうため、再び隠れていた自動車がみえるようになると、新たな自動車として計測してしまうという問題(重複計測問題)にも対処する必要がありました。

理想的な角度(実際にはほとんどありえません

解決案

方針

 解決案としては、⑴トラッキングの精度を向上させる、⑵トラッキングに失敗した場合にフォローできるような仕組みを用意する、という二つの方向性が考えられます。根本的なトラッキングの精度を向上させることは、システムそのものの原理を改変させることにも直結するため、簡単にはできません。そのため、実際に行ったことは、⑴どの範囲までなら正確にトラッキングできるのかを把握する、⑵それを踏まえてトラッキングが失敗するケースを想定してフォローアップする体制を整える、ということです。

具体的な対策

 実験中に、トラッキングは交差点内部で失敗することが多いことがわかりました。そのため⑴交差点内と外部で領域を分け、⑵交差点に入るまでに自動車を補足、⑶交差点に入った時に進入方向(どこから入ってきたか)を保持、⑷交差点から出るタイミングで進入方向及び進出方向(どこに出ていったか)を記録する、という段階を踏みました。トラッキングがうまくいった場合は、この処理だけで交通量、交通方向(進入方向と進出方向)を正しく計測することができます。
 トラッキングが失敗した場合、記録するタイミング(交差点から出るタイミング)で進入方向の情報を持っていない自動車が検出されることになります。その時は、交差点から出るタイミングでの自動車の進行角度を測定します。(下図参照)右折(左折)をしてきた場合、自動車は交差点内部と外部で直進時とは異なる角度で存在します。この角度の情報を利用することで進入時には右折(左折)する方向からきたと判断できます。また記録するタイミングを交差点から出るタイミングのみにすることでトラッキングに失敗した自動車を二度計測してしまうという問題も解消することができます。
 このように判定するタイミングと方法を工夫することで、誤差を最小限に抑えることに成功しました。

まとめ

 物体の進行方向予測などは今後も重要なテーマであり、ますます発展していくと想定されます。さらに精度を向上させるように工夫していきたいとおもっております。
 自動車の交通量測定に関して興味・ご質問がある方は下記までご連絡お願い致します。

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