中国のAIに関する動向をまとめました。
中国でAIコンテンツに著作権を認める判例 今後に期待と懸念
https://forbesjapan.com/articles/detail/33272
(Forbes Japan 2020/03/31)
・2020年1月、中国でテンセントのAI記者「ドリームライター」が株式市場について作成した文章に著作権を認める判決がはじめて下され、AIの著作物をめぐって期待と不安が生まれている。
・テンセントはAIソフトウェアは自社のチームが作り上げた独自のものであり、そこから生み出される表現には特有のものがあるとして著作権を主張していた。
・裁判所は株式市場の記事を作成する過程で、データの選択、分析、判断、テキストの合理性、表現の明確性において「独創性」があると判断し、テンセントの主張を認めた。
中国AIのスピーカー市場が好調 3大ブランドがほぼ独占
https://forbesjapan.com/articles/detail/33210
(Forbes Japan 2020/03/25)
・2019年に中国で販売されたAIスピーカーの量は、3664万台となり、2018年比で125%成長、市場規模は約1171億円となった。
・アリババ、バイドゥ、シャオミの製品が性能比価格で優位をおさめ、市場シェアの92%を占めている。
・中国のAIスピーカー市場は今後「スクリーン時代」を迎えるという指摘があり、またAIスピーカーそのものの普及率は13%程度でさらなる市場の広がりが期待されている。
中国は新型コロナウイルス感染症に「AIによる診断」で対抗する
https://wired.jp/2020/02/27/chinese-hospitals-deploy-ai-help-diagnose-covid-19/
(2020/02/27 Wired)
・中国の中南医院の放射線科では、肺のCTスキャン画像からCOVID-19に関連する肺炎の視覚的兆候を検知するAIを利用する実験が進められている。
・開発したInfervisionは10万枚以上の肺炎画像をもとに学習したAIに、さらにCOVID-19の患者の2000枚以上の画像によってトレーニングすることで専用のソフトをつくった。
・画像診断では感染していることを確証することはできないものの、患者の診断、隔離、治療をより効率的に実施することで医療機関の負担の軽減が期待されている。
中国もともと個人情報の取り扱い規制がゆるく、AIのためのデータがとりやすい国とされてきた。またAIの導入に積極的になるよう奨励されていたこともあり、国内でも様々な場面でAIが積極的に活用されている。コロナ対策やAIスピーカーの確実な広がりなどは、そうした流れの具体例であるといえるだろう。そうしたなかでAIによって生成されたものに対する著作権が認められたことは大きな動きとなるだろう。よりAIによる制作物に対する価値が高まることはAI企業にとってはよい反面、大量に生成されていくであろうAIの生産物すべてを気にすることは非常に難しいということもいえる。ただし、この判決はAIによる著作権がありうることを確認した以上、今後はどこまでAIによる独自性を認めるのか、という線引きが求められていくだろう。